第53回「カードゲームにおける確率論」
どうもこんにちは!
つい先日まで半袖ボーイでしたが、最近肌寒くなったので長袖に変えました。西の国に住んでいるチームコネクションのライジング白石です。ついでに冷房も見納めとなりましたね。
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今回のテーマは、ユニオンボーダーとは少し変わってカードゲーム全般お話。
カードゲームで堅実な試合運びを目指すために切っても切れない存在とも言える「確率」という要素。ゲームシステムに現れている数字についてライジング白石が考察していこうと思います。
概念は確率で出来ている、それがゲーム。
カードゲームをプレイしている方々であれば、このことは経験あるでしょう。「ここぞという時にあのカードが来ない」ということ。単純に「運が無かった」で終了することもあるかもしれませんが、そうではない要因もあることは語るに及ばず。
今回はその大きな要素である「確率」についてお話しましょう!
デッキの枚数と確率論
カードゲームを遊ぶ&作る時に、デッキの枚数やカードの枚数というのは必ず考えなければなりません。ここで数学的観点からコンビネーション「nCr」を用いて、望むカードを引ける確率を算出します。
この確率が低いほど特定のカードを引く可能性は少なくなるため、どうしてもこのカードを使いたいというものは確実に複数枚入れておくのが賢いと言えます。最初の手札に望むカードが来る確率というのは、1枚だと12%→10ゲームに1回以上。対して4枚だと41.1%→3ゲームに1回以上。このように、絶対に来てほしいカードは複数枚入れるのがセオリーと言えます!
同様に、デッキの中に投入するカード枚数を同じにした場合はデッキの枚数が多いほど望むカードを引きにくくなると言えます。カードを多く入れて枚数の多いデッキを作るということは「多くの武器を持っている」状態となり、ゲーム中に取ることのできる行動の幅が増えることとなります。逆にデッキの枚数を下限にした場合は「必要最小限の武器」状態となり、必要な時に望むカードを手に入れやすくなることになります。
ゲームを作るにあたり、デッキの規定枚数の決定はゲームスタイルを大きく印象付けることになるでしょう。デッキの枚数が40枚と60枚では望むカードを引ける確率に差があることから、「今引き」(戦況のひっくり返す奇跡の1枚)の難易度を操作するのにデッキの規定枚数が役立つ要素になり得ます。
▲ユニオンボーダーでは、同じ名前のカードを4枚まで投入可能。そして初期手札は6枚である。(黄ハッチ参照)
また、ゲームとしての駆け引きを壊さないレベルの「ドローの概念」を考えさせられるヒントにもなってくれるはずです。例えば最初の手札を何枚にすればいいかという点。これはカードを引くテキストの強さに応じても変化しますが、どれだけの手札があればよい塩梅となるかをある程度定めることもできます。
このようにデッキルールというのも完全に数字によって支配され、それに影響されてゲームスタイルが形成されるとも言えるのです!
引き直しを含めた確率の算出
引き直しとは元来、専用のエネルギーの概念を必要としたり、ゲームを進める上で必ず必要となるカードを引かせるために専ら導入される措置です。この行為をマジック・ザ:ギャザリングの用語から「マリガン」と呼ばれることもあります。
引き直しが認められる場合、望むカードを引ける確率というのは「引きやすい」方向で変化します。もし製作側であるなら、引き直しの方法に応じて確率が若干変化することを念頭に置きつつ決定するといいかもしれません。(今回は初期手札を全て山札に戻してシャッフルし、同じ枚数ドローするという方式を取ります)
ワイルドカードとなり得るカードの概念
カードの投入枚数制限があるので、引ける確率というのは枚数に応じて一律化していく傾向にあります。それでも望むカードを手に入れたい、というシチュエーションはよくあることでしょう。ここで、ドロー以外の方法でカードを手札に加える「サーチ(サルベージ)」が有用な手段となります。プレイするための効率は異なりますが、ある程度コストを支払ってでも望むカードを手に入れられるので目的に沿ったプレイができる手助けになってくれます!
※サーチ:山札からカードを探すこと。
※サルベージ:捨て場などからカードを拾い上げること。
そして開発側サイドとしては、サーチやサルベージの概念をどう取り扱うべきかを考えなければなりません。サーチ手段はゲームのやりやすさを高めるにはもってこいですが、それ相応のゲームバランスが大切になってきます。ドローも含めて、カードをアクセスするのにどれほどのパワーならば許容できるのか何度もデバッグしながら見定めていくことが必要です。
下記、サーチによって引き起こされるメリット/デメリットを記述します。
メリット
・望むカードを手に入れやすい。
・目的に沿った動きがやりやすいので、ストレスフリーにデッキを動かせる。
デメリット
・デッキを触る機会が多い。
→山札の中身を見たりシャッフルしたりする数が多くなり、ゲームテンポが悪くなる。
・ゲーム調整が難しい。
→本領同士の戦いになりやすく、そうした場合のカテゴリーごとの強弱がはっきり分かれる。
確率論から最適解を見つけよ!
いかがでしたでしょうか?
確率という要素は実戦よりもデッキ・ルール構築の際に考慮される素材としての使い道がポピュラーですが、確率論を知っていると知らないとでは、デッキが思い通りに動けなかった時の真の原因の究明に差が出やすくもあります。
今回は基本的な項目を紹介しましたが、「望むカードをXターン目に引く確率」や「AとBを同時に引く確率」などを調べてみるのもまた面白いかもしれません!
今回はここまで。次回のライジング白石の記事をお楽しみに!
ではまた!